オークション代行アントロワの平川です。本日は最近、気になったファッションニュースを取り上げます。先月、国内ジーンズメーカーのエドウィン(EDWIN)が事業再生ADRを申請というニュースが飛び込んできました。
エドウィンは東京、日暮里で生まれた下町ブランドです。アントロワと会社の場所も近いのでとても応援しています。 なので最近の動向にはとても気になっているのです。
エドウィンは数々のメジャーブランドを保有する日本の会社
エドウィンは国内最大手のデニムブランドです。東京都の繊維街、日暮里が発祥のこのジャパニーズブランドは日本に住んでいる方は一度は目にしたことがあるでしょう。ジーンズブランドのエドウィンという認識の方が多いですが、実は他のメジャーブランドを多く扱っています。
※以下の取扱いが全てではありません。
- リー(Lee)
- ラングラー(Wrangler)
- カーハート(Carhartt)
- サムシング(SOMETHING)
- ラッセルアスレチック(RUSSELL ATHLETIC)
- アメリカニーノ(AMERICANINO)
- アルファ(ALPHA)
リー(Lee)やラングラー(Wrangler)は有名なアメリカブランド、他にもMA-1で有名なアルファ(ALPHA)のライセンスも保有しており、ポテンシャルは高いです。エドウィン(EDWIN)よりもファッション性の高いブランドを実は扱っているのです。
面白いデマ?「エドウィン=江戸が勝つ」
エドウィンのブランド名の由来はDENIM(デニム)の「D」と「E」を逆にし、「NIM」を180度反転し「WIN」としたとされています。最近、Facebookやネットニュースで「エドウィン=江戸が勝つ」という意味と掲載されているのを目にしますが、正式に会社として発表はされていません。面白いとは思いますが・・・。
エドウィンの事業再生ADRを知って感じたこと
事業再生ADRというのは倒産させないための措置なので倒産ではありません。ですが、再建するためのスポンサー探しをしている状態であるとのこと。つまり、エドウィン単体では存続が出来ない状態まで追い込まれたということは間違いないようです。
このニュースを聞いた時、やっぱりそうだったんだ。と思いました。そしてADR申請の理由は証券取引の失敗や損失隠しなどもあったそうですが、やはり問題は長年の戦略に理由があるのではないでしょうか?
ADRの理由は長年のマーケティング戦略の失敗?
私は以前からエドウィンに対して疑問を持っていました。それは知名度が高いデニムメーカーでありながら、ファッション性に個性や変化を感じなかったからです。
1990年代からエドウィンは立ち位置が不明確
1990年頃、街のジーンズショップでは必ずエドウィンのジーンズが売られていました。国内の定番デニムだったかもしれませんが、友人で履いている人はあまり多くはいませんでした。私にとってエドウィンはファッション性が弱いジーンズという位置づけでした。また、1990年代の若者向け雑誌でもあまり取り上げられたことはないと思います。あっても記憶には残っていません。
リーバイスなどの定番デニムブランドにイメージで遅れをとっただけではなく、1995年頃は国内のこだわりのあるヴィンテージデニムブランドの人気に火が付きます。
1995年頃、注目された主な国内デニムメーカー
- エヴィスジーンズ(evisu)
- ザ リアルマッコイズ(The REAL McCOY’S)
- シュガーケーン(SUGAR CANE)
- ストゥディオ・ダルチザン(STUDIO D’ARTISAN)
- ドゥニーム(Denime)
- フルカウント(FULLCOUNT)
これらが若者の注目を浴びる一方、逆にエドウィンはヴィンテージブランドには属さない大衆向けのブランドという位置付けでした。
2000年代、海外プレミアムデニムが席巻
2000年代、日本の20代の男女の間では海外デニムブランドが人気になります。
海外アパレルブランドの人気デニム
- ディーゼル(DIESEL)
- アーペーセー(APC)
- ディオールオム(Dior Homme)
海外プレミアムジーンズとして流行したブランド
- チップ&ペッパー(Chip&Pepper)
- トゥルーレリジョン(True Religion)
- ヌーディージーンズ(Nudie Jeans)
- ペーパーデニム&クロス(Paper Denim&Cloth)
- リプレイ(REPLAY)
今では定番となりましたが2005年頃はオシャレ通しか履いていなかったH&M。価格が手頃なわりに形も悪くないユニクロ。この年代においてもエドウィンは知名度はあるものの、ファッション業界のあらゆる媒体で大きく取り上げられることはありませんでした。このような状況でファッション業界のメインターゲットである20代、30代でエドウィンの認知度はさらに失速していきました。
2010年代はファストファッションの隆盛
H&MやForever21、GAP、ユニクロ、guなどのファストファッションが街中を席巻し、1990年代に多くあったカジュアルジーンズショップの座が完全にファストファッションに奪われました。
まるで街の個人経営の定食屋がマクドナルドやファミリーレストランにとって代わり、街の憩いの場が商店街からショッピングセンターに代わったように。そしてこれからもOLDNAVYやアメリカンイーグルなどの海外ファストファッションが日本に進出してきます。エドウィンは今後、商品の卸先、販売面でも検討する必要がありそうです。
エドウィンの再建計画に期待すること(支援候補は3社)
事業再生ADRに伴い、エドウィンを支援するスポンサー企業が近く決定する模様です。
その候補は2013年12月6日、現在で以下の3企業に絞られました。
- 伊藤忠商事
- 株式会社ワールド
- 豊田通商
私にとってはワールドが一押しでしょうか?ぜひ、エドウィンブランドをワールドが展開する多くのアパレルショップで扱ってほしいです。エドウィンには日本発祥であるブランド価値があります。日本ならではの品質の良さもあります。このブランドを今の10代、20代からカッコいい!と言われるくらいのブランドにしてほしいのです。どこの会社がスポンサーになっても日本ブランドとして海外ブランドに勝ってほしいです。
エドウィン=江戸が勝つ!(デマだと思いますが・・・。)
日本ブランドの再生に期待しております。
2013年12月8日、個人調査