こんにちは!アントロワの平川です。久しぶりの「アパレル販売に役立つブログ」ですが、今回は私がアパレル販売員だった頃の話をさせていただきます。
私は13年間、アパレル業界で洋服の販売員をしていました。そのうち、5年間は某レディースブランドで男性販売員として働いていました。レディースブランドですので、基本的に周りは全員女性です。当時、ブランドには約100名の販売員がいましたが、男性販売員は私を含めて2人、多い時期でも4人でした。
珍しいかもしれない、この経験から、働いてみて良かったことや困ったことなどをお話したいと思います。
レディースブランドの洋服に詳しくなれる!
このブログをご覧になっている男性はおそらく洋服が好きでいらっしゃると思います。普段、セレクトショップやファッションビルに通われている方ですと理解が難しいかもしれませんが、アパレル業界はレディースで成り立つ業界です。
レディースはメンズに比べて、実に様々なデザインやシルエットがあります。例えばスカートのシルエットだけでも実にたくさんの種類があります。また、カットソーではフリルやギャザー、シャーリング、パフスリーブ、ドロップショルダーなどデザインや装飾が限りなくあるのです。
男性がレディースのお洋服に詳しくなれる機会は滅多にありません。アパレル業界に長く従事するつもりでしたら、ファッションや洋服を奥深く知ることのできる本当に良い機会なのです。
また、レディース業界全体の流行デザインは抑えておく必要がありますので、女性ファッション誌を読むことは必須です。ちなみに私は1ヶ月に4.5冊の女性ファッション誌を購読していました。その他にも休日を利用してレディースショップに足を運び、競合店のデザインをチェックします。もちろん、業務外の時間を使ってです。このくらいの努力はしないと、接客するお客様には支持していただけません。
接客販売力が抜群にアップすること間違いなし!
これは経験した者にしか分からないことですが、顧客向けのメンズ服の接客とレディース服の接客方法は内容に違いがあります。もちろん、接客は客層によって様々な手法があるのも事実です。ですが、接客販売力という点において、レディースショップでの経験がその後の販売員生活を大きく変えるほど接客力をアップさせてくれます。
では何が違うのか?違う点は次の3つです。
- 女性客は男性客に比べて販売員との密な会話を求める
- 男性客と女性客は洋服を選ぶ視点に違いがある
- 女性客は販売員のコーディネート提案に価値を見出す
まずはレディースのほうがお客様との対話を重視します。単純にお客様との対話時間が間違いなく長いです。次に、先程お伝えしたレディースアイテムの知識です。どの部分が役立つかというと、素材の知識、洗濯方法など意外な程、一般的な知識です。メンズショップでは男性客はあまり詳しくない分野ですので、素材の特徴を伝える、お洗濯の方法を伝える、といったことはお客様からの信頼を得ることに繋がります。
そして、レディースブランドの接客は基本的にコーディネート販売です。ブランドの感性を体現した、お洋服の組み合わせを提案することです。お客様の感性を満足させることが必要です。対して、メンズブランドはアイテム一つ一つのブランドの歴史、素材の良さなど、いわゆるウンチクが重要です。洋服の組み合わせよりも一つ一つの物に対するこだわりが強いのです。
お客様、そして接客する販売員、いずれも男性ですので、男性販売員は女性販売員に比べてセット販売でお勧めする意識が低いように感じます。
私もどちらかというとファッション性よりも物の歴史などにこだわります。そのため、時間に追われていることもあってか、一度気に入ったスタイルを続けています。バッグや財布は良い物を永く使います。男性はコーディネートで気に入りセット購入する機会は女性に比べて少ないと思います。
もちろん、人によって考え方は違います。ただ、これは私が10年以上アパレル業界で販売員をやってきたことから感じたことです。私はレディースブランドで働いた後、メンズブランドで働く機会がありましたが、コーディネートでお勧めする販売員はあまり多くはいないように感じたのです。
その為、レディースブランドでの経験を活かしてメンズで働くと、他の男性販売員に比べてコーディネートでたくさん売れる!となる可能性は高いと思います。
なぜレディースで働く男性販売員は女性的なのか?
これは働いていた当時、周りでよく話題に上がった事柄です。レディースブランドで働く男性販売員はいわゆるゲイ(同性愛者)なのか?答えはNOです。
私は5年間、ほとんどの日を女性スタッフと過ごし、1日に20人から30人の女性のお客様へ接客をしてきました。顧客重視の接客なので、洋服以外のこともたくさん話します。年間を通して男性と話す機会はほとんどありません。たまに会う友人程度です。
これだけ女性の方と会話をしていると、女性の方に嫌われないように自然と話し方が優しい口調になっていくのです。同僚、先輩が女性かつ販売員ですので、自然と接客を真似ていきます。意識をしていなくても、自然と変わっていくのです。男らしい口調は多少角が立つといった印象でしょうか・・・。
1年、2年と経過すると、いつのまにか女性らしい口調になっていきます。例えば、周りから「かわいい」という言葉を嫌というほど耳にします。すると、自分も「かわいい」と使いたくなってしまうのです。
すると私は周りから女性らしい男性販売員=ゲイであると噂されるようになっていきました。あの販売員って女性っぽいよね?と思われるのも仕方ないのかもしれません。
ちなみに、アパレル業界にいわゆるゲイの方が多いのも事実です。僕もたくさんの友達、知り合いがいます。ただし、レディースブランドで働くスタッフは・・・、という問いにはNOとお答えします。
男性販売員は女性の環境に慣れすぎるのも問題?
女性社会で女性と接していますので、会話や趣味も女性の影響を受けていきます。何年も経つと男性社会に違和感を感じるようになるかも・・・、そうならないように気をつけたいところですね。定期的に男性の方と話す機会を持つことをお勧めします。
ただし、女性のことがよく分かるようになっていくと思います。毎日、毎日接していますので・・・。色んなことを知ることができるかもしれません。そして、当たり前ですが、女性に対しての抗体ができてきます。どんな女性の前に出ても、物怖じしないようになれると思います。
売場で着る洋服代がバカにならないかも・・・
私が5年間働いてみて、明らかに困っていたことは毎月の洋服代です。レディースブランドで働いているので、メンズ服を扱っていません。つまり会社の洋服を社員購入することはできなかったのです。
ですから、毎月のように職場で着る洋服を全額自腹で買っていました。これは物凄い出費です。なぜなら、女性スタッフの手前、女性のお客様の手前、それなりの格好で毎日、売り場に立たなくてはいけないからです。
私は店長を努めていた時期もありましたので、やはりそれなりのブランドで揃えて売り場に立っていました。男は外見ではない、というのは全く通用しない職場なのです。
こんな男性販売員ならレディースでやっていける!
私は言うのも恐縮ですが、何事にも敏感な感性を持っていたほうがいいと思います。相手の機嫌を察して、細やかに接することを心掛けること。女性と付かず離れずの関係を幅広く構築できることが必要だと思います。特に店長などの管理職に付くのなら、なおさらです。幅広く女性に嫌われないタイプになることが必要です。
次に身だしなみ、清潔さが重要です。まず、身だしなみですが、多くの女性に好まれる服装が好ましいと思います。例えば、全身ロックや全身アメリカ古着の服装だと、周りの女性はどういった印象を持つでしょうか?
もちろん、服装は個人の自由です。ですが、そのような服装を苦手とする女性は、少なからずいるようです。なので、無難にカジュアルかトラッドにまとめたほうが、女性からの印象は悪くはなりません。仕事以前に、服装だけで嫌われないようにしましょう。
また、体臭や口臭には特に気をつけましょう。女性からは指摘してくれません。なぜか避けられている・・・、という状況になってしまっては、もう職場の雰囲気を変えることは難しいかもしれません。
レディースで働くチャンスがあれば一度経験してみよう!
レディースブランドのお店で販売員ができるチャンスがあるのなら、是非、挑戦されることをお勧めします!男性の視点からはカルチャーショックと感じることが多くあると思います。その分、色々なことを学ぶことができます。心配しなくても、1年くらいで慣れるので大丈夫です。頑張ってみてください。
以上、今回のブログでは私の個人的な経験と主観からお話させていただきました。内容に関するクレームはご遠慮いただき、素敵で面白い感想をたくさんお待ちしています!
2015年4月25日 オークション代行&ブランド買取アントロワ 平川 哲行